突然ですがここで,問題です.
その後輩の名前をA君とします.
パー4のセカンドショット,ピンまで残り190ヤード.
ライはつま先下がり(スタンスとボールの高低差は15cm)のラフの中です.
コースレイアウトは左サイドは林,右サイドは崖(OB)が続いています.
グリーン右手前にはバンカーがあります.
グリーン奥には特にハザードはありません(むしろアプローチし易い).
以上のような状況です.
A君の飛距離は2番アイアンで210ヤード,
3番アイアンで200ヤード,
4番アイアンで190ヤードです.
平均スコアは110前後です.
さて問題です.A君はどのクラブを選べば,
ボギー以下でこのホールを終えることができるでしょうか?
☆答え☆
まず,最悪の答えから先に言うと,
「2番アイアン」,「3番アイアン」です.
いくらオーバーは寄せやすいという状況でも,15cmもつま先下がりのライからロフトのないロングアイアンを打てば,おそらく右の崖へボールは消えていくでしょう.
次に悪い答えは
「4番アイアン」です.
4番アイアンで190ヤード飛ぶといっても,このライから190ヤードきっちり打つのは難しいでしょう.また上述の理由から右の崖に飛んでいく可能性は,まだまだ高いと考えられます.
よく考えてください.A君はここから「パーを取る必要がある」とは言っていません.
A君がどのクラブなら高い確率でグリーンに乗るかにもよるのですが,
☆☆本当の答え(私が平均スコア110のレベルならこうします)☆☆
「7番アイアンくらい(右の崖に飛んでいく確率が自分の中で最も低いと自信を持って言えるクラブ)」でしっかり打って,
残り100ヤード以下からAWやPWでとりあえず,グリーンのどこかに乗せる.
(※グリーンに「確実」に乗せるのは,難しいかもしれませんが,ボギー以下で終える確率は高いはずです)
あるいは,フェアウェイのライの良いところを狙って50〜70ヤード(このとき,林とOBゾーンを「死ぬ気で避ける」)出して,3打目で勝負する.
つまり何が言いたいかというと…
190ヤードのつま先下がりのライは,
「打てるけどトラブル」の状態なのです.
次のショットのクラブ選択(あるいはショットの質)次第では,
「本当のトラブル」
に発展する可能性があるのです.
ちなみに考えてもらえばわかりますが,この「打てるけどトラブル」の状況はゴルフ場には満ち溢れています.
(心理学的に言えば,アフォーダンスを感じ取る能力が高い人が上手いプレーヤーということになるのでしょう)
実際にA君は3番アイアンで打ってOBにしたそうです(やっぱり…)
だからA君には,
「今,そのミスをするのは仕方がないけど,今後同じ原因のミスをしてはいけないよ」
と伝えておきました.まだまだ彼にはケーススタディが足りませんので仕方がありません.
実際,私も同じような状況で4番アイアンを振って,OBにしたことがあります.
しかも試合で2回同じことをしたことがあります.
だから,私はこの状況で今後2度と同じミスを繰り返さないためにもこの記事を書きました.
A君にはできれば同じミスを繰り返して欲しくありません.
「わかっちゃいるけど,止められない」
これは上達を真剣に願う人なら絶対に言ってはいけません.
とりあえず,100切りを目指すなら,同じ原因のミスをなるべく少なくすることが重要です.
ちなみに,こういうゴルフでの危機管理能力が低い人の特徴として
「他のプレーヤーが打つときに,前方や右前にボーっと立っている等」
が挙げられます.
私はキャディをやりながら行動観察をしていて気付きました.
正直に言うと,私はビビリなので,こういうお客さんがいると怖くて仕方ありません.
(だから場所を動いてもらうようにしますが).
「ボール当って死にますよ…
冗談じゃなくて」
実際に,私は自分がプレーしている時,
同伴競技者の打球が違う競技者に直撃した事故を2件,
練習場で練習している時,近くにいた人が
自打球が周りの物に当って眼球に直撃した事件を1件目撃しています.
(しかも病院まで付き添いました).
原因ははっきり言って「誰かの不注意」です.
ただこういうことも含めた危機管理能力は,ゴルフにとって必要なスキルであると考えています.